父の死の瞬間、自分も「異次元」を見た!他人の死を追体験する「シェアード・デス・エクスペリエンス」の正体

臨死体験(NDE)には、まぶしい光のトンネルや過去の記憶のフラッシュバックなど、共通するパターンがあるとされる。
だが、当人が生死の境をさまよっていないにもかかわらず、よく似た体験を語る人々がいる。
心理療法士のウィリアム・ピーターズ氏もその一人だ。父親が息を引き取る直前、自分の意識が突然別の次元に飛び、亡くなった祖母や叔母、会ったこともない祖父の姿を見たのだという。こうした現象は「シェアード・デス・エクスペリエンス(SDE、共有死体験)」と呼ばれ、意識研究の分野で注目を集めつつある。
父の臨終で見た「進行役」——心理療法士の証言
ピーターズ氏によれば、父親が亡くなる数分前、彼は見知らぬ空間に立っている自分に気づいたという。
そこには亡き祖母と叔母、そして一度も会ったことのない祖父の姿があった。なぜ父はまだ死なないのかと尋ねると、二人は父親の体の上方に視線を向けるよう促したという。
その方向に意識を集中させた瞬間、ある強い”存在感”を感じ取ったとピーターズ氏は振り返る。死への移行を司る「進行役」のような存在だったといい、その時が近づいていると感じてから間もなく父親は息を引き取ったという。
この体験をきっかけに、ピーターズ氏はSDEを研究する非営利団体「シェアード・クロッシング・リサーチ・イニシアチブ(SCRI)」を設立。同様の体験を語る人々への聞き取り調査を数百件重ねてきた。
距離も時間も超える——数百件の証言が示すパターン
SCRIの調査によれば、SDEの報告内容はNDEと非常によく似ているという。多くの体験者は、人が息を引き取る瞬間に意識や魂と呼べるものが体を離れ、別の存在へと移っていく感覚を語るとピーターズ氏は説明する。
体験中は時間の感覚が大きく変わる点もNDEと共通するという。光を見た、人生が駆け巡ったという報告もあるが、SDEでは「死にゆく本人の人生」が映し出される点が異なる。
SDEは必ずしも臨終の場に居合わせた人だけに起きるわけではない。SCRIの集計では報告事例の64%が物理的に離れた場所で起きた「リモート」型で、枕元での体験は36%にとどまる。タイミングは75%が死亡確認とほぼ同時刻だという。
死後も意識は続くのか——専門家の見解は割れる
こうした報告が何を意味するのか、研究者の間でも見解は分かれている。
バージニア大学の精神科研究助教マリエタ・ペリバノヴァ氏は、NDEやSDEが報告され続けている事実自体が、意識は脳の活動だけに還元できない可能性を示唆すると述べる。
SCRIが手がけ2021年に医学誌に掲載された研究では、SDE体験者の死生観の変化や、悲嘆の受け止め方が和らぐ傾向が確認された。ブラジル・フェデラル大学のタイス・オリベイラ・ダ・シルバ氏は、この結果が予期悲嘆だけでは説明しきれない側面を示すとみる。
一方、生理学的な説明を支持する声もある。オリベイラ・ダ・シルバ氏は、せん妄や投薬の影響、終末期特有の神経機能障害が似た体験を引き起こす可能性を挙げる。脳内物質や電気活動の変化からNDEを説明する「NEPTUNEモデル」という理論もあるが、精神科医のブルース・グレイソン氏とペリバノヴァ氏によるレビュー論文は、脳への電気刺激だけでは体験者が語る視界の外の出来事の知覚までは再現できていないと疑問を呈している。
死への恐怖が和らいだと語る体験者が多いのも、SDEに共通する特徴だ。ピーターズ氏によれば体験者の約41%が複数回のSDEを報告している。死の間際に何が起きているのか——脳が生む最後の幻影なのか、意識そのものの未知の性質なのか、答えはまだ出ていない。
参考:Popular Mechanics、ほか
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2024.10.02 20:00心霊父の死の瞬間、自分も「異次元」を見た!他人の死を追体験する「シェアード・デス・エクスペリエンス」の正体のページです。意識、臨死体験、NDEなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

