カエルは1983年に絶滅した″口から出産”するカエル ——「ラザロ計画」は40年前の冷凍標本で蘇らせられるか?

オーストラリアにはかつて、卵を産むのではなく口から子ガエルを「出産」するという、脊椎動物では他に例のない生態を持つカエルが生息していた。
しかしその奇跡のような生態は、致死性の病原体によってわずか十数年のうちに地球上から姿を消してしまう。
絶滅からおよそ40年、冷凍保存されていた1体の標本を手がかりに、この幻のカエルを蘇らせようとする研究計画が今も続いているという。その名も「ラザロ計画」——聖書の中で死者を蘇らせた奇跡になぞらえたプロジェクトの中身とは。
「胃が子宮になる」世界にも類を見ない繁殖方法
このカエルは学名をRheobatrachus silus(イブクロコモリガエル属)といい、近縁種のRheobatrachus vitellinusとあわせて2種のみが知られていた。
通常のカエルは水中に卵を産みっぱなしにするが、このカエルは受精した卵をメスが飲み込み、胃をまるごと子宮のように使う。
胃の中で卵は成長を続け、消化液の分泌が止まった状態のまま完全な姿のカエルへと育ち、やがて母親の口からひょっこりと飛び出してくるのだという。
ツボカビ症の猛威で消えた2種
R. silusは1973年にクイーンズランド州で報告されたが、野生個体は1981年までに姿を消し、飼育下で生き延びていた最後の1匹も1983年に死亡した。
近縁のR. vitellinusにいたっては1984年に発見されてからわずか1年ほどで絶滅している。
原因とされているのは、世界各地の両生類を絶滅に追い込んできた病原体「カエルツボカビ症」だ。この病原菌は皮膚呼吸を行うカエルの皮膚機能を破壊し、短期間で個体群を壊滅させることで知られている。

40年前の冷凍標本に挑む「ラザロ計画」の現在地
オーストラリア・ニューカッスル大学のマイケル・マホーニー教授らのチームは、体細胞核移植(SCNT)という技術を用いてこのカエルの復活を試みている。
40年以上冷凍保存されてきた若い個体1体から採取した核を、近縁種である「グレート・バード・フロッグ」(Mixophyes fasciolatus)の卵細胞に移植する手法だ。
この試みにより、初期段階の胚(胞胚)を作り出すことに成功し、そこにRheobatrachus由来の核DNAが含まれていることも確認されたという。マホーニー教授はこれを、いわば「死んだDNA」が複製されたことを示す成果だと位置づけている。
ただし課題は多い。使用できる標本は冷凍されたわずか1体の幼体のみで、精子や卵の核は残されていない。加えて、生きているカエルから採取した新鮮な核を使った対照実験でさえ、SCNTでは生存可能な個体を得られていないという。
チームはこの1年でオーストラリア産の別のカエルをオタマジャクシの段階まで無事にクローン培養することに成功しており、技術の最適化を進めたうえで、あらためてRheobatrachusでの復活実験に挑む計画だという。
新鮮な核でさえ実現できなかった技術が、40年前の冷凍核で成功する保証はどこにもない。それでもチームは歩みを止めていない。いつの日か、母ガエルの口からひょっこりと子ガエルが顔を出す光景を、再びこの目で見られる日が来るのだろうか。
参考:IFLScience、ほか
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2024.10.02 20:00心霊カエルは1983年に絶滅した″口から出産”するカエル ——「ラザロ計画」は40年前の冷凍標本で蘇らせられるか?のページです。復活、カエル、絶滅などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
