「非人間的知性が確認された場合の準備計画は存在する」米政府が科学諮問委に説明、国際的な主導も表明

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 米国の全情報機関を束ねる国家情報長官室(ODNI)の一室で、この夏、奇妙なブリーフィングが行われていた。

 集められたのは、トランプ政権が発足させたばかりのUAP(未確認異常現象)科学諮問委員会の科学者たち。そこで政府側から伝えられたのは、「非人間的知性(NHI)の存在が確認された場合に備えた準備計画を、米政府はすでに保持している」という説明だった。

 出席した委員のひとりが、その中身を自ら公表した。

ODNIの一室で科学者たちが受け取った「一文」

 この委員会は「UAP科学諮問委員会(UAPSAC)」と呼ばれ、2026年6月に米政府が正式に設置した組織だ。UAPを科学の手法で検証するための専門家集団という位置づけで、発足当初から注目を集めていた。

 その委員会と、政府および情報機関の代表者との初の対面会合が開かれたのが2026年8月31日。場所はODNIのオフィスである。

 会合の内容を明らかにしたのは、委員を務める心理学者のジェニス・ヴィルハウアー氏だ。同氏によれば、政府側から示されたのは大きく2点。NHIの存在が確認された事態に備えた準備計画が用意されていること。そして、そうなった際に米国が国際的な主導的役割を引き受ける用意があることだった。

 米政府の姿勢はこの10年で「扱っていない」から「未解明の事案は存在する」へと動いてきた。だが「確認された場合の段取りはすでにある」という次元の説明が科学者側に伝えられたことは、その流れの中でも異質な重さを持つ。

「計画がある」ことは「宇宙人がいる」ことを意味しない

 ただしヴィルハウアー氏は、この情報がひとり歩きすることに強い警戒を示している。

 準備計画が存在するという事実は、政府がNHIの存在を確認したことも、確認が間近に迫っていることも、何らかの発表を準備していることも意味しない。同氏はそう繰り返し念を押す。政府とは、起きるかどうかわからないが起きれば影響が甚大な事象について、あらかじめ計画を持つものだからだ。

 では何を意味するのか。同氏の解釈はこうだ。米政府は、確認という事態が起こりうる可能性を、事前の計画づくりを正当化する程度には真剣に検討した。そして影響は各機関が連携して対応しなければならないほど大きいと結論づけた。それ自体が十分に重大なことだ、と。

 国際的な主導への言及も、確認が一国で完結しない地球規模の出来事になると政府が認識している証左だと読み解いている。

 一方、肝心な部分は語られなかった。どの省庁が対応を主導するのか。何が起きれば計画は発動するのか。公表後に生じる社会的・心理的な混乱まで想定しているのか。これらへの説明はなかったという。

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警察官から聖職者まで、足りないのは「受け止める側」の準備

 ヴィルハウアー氏がこだわるのは、まさにその欠落部分である。情報を公表する準備と、人々がその情報を理解し受け止める準備は、まったく別物だからだ。

 同氏は会合の場に、非営利団体ディスクロージャー財団と共同でまとめた開示の影響に関する白書と、心理的影響を扱った60ページの報告書を提出した。

 そこで想定されているのは、驚くほど地に足のついた実務だ。警察官、教育者、医療従事者、聖職者、災害対応の担当者らに向けた研修プログラム。誤情報への対処指針や、記者・広報担当者向けの訓練。宗教や法律、経済、地政学の各分野で開示が何をもたらすかを調べる研究。世界観の根本的な揺らぎに直面する人々への長期的な支援まで挙げられている。

 同時に同氏は、UAPやNHIをめぐるあらゆる主張を真実として前提にしてはならないとも釘を刺す。目的はパニックを煽ることではなく、人々が情報を責任を持って評価できる状態をつくることにある。

 対照的なのが欧州である。2018年、緑の党の連邦議会議員だったディーター・ヤーネチェク氏が、地球外生命との初接触に向けた手順の有無をドイツ政府に問うたことがあった。同年8月7日に連邦経済エネルギー省から返ってきた回答は、プロトコルも計画も存在しない、というもの。科学的知見に照らせばドイツ領内での初接触は極めて起こりにくいから、というのが理由だった。その後この立場が更新されたという情報は確認されていない。

 計画を持つ国と、必要ないと答えた国。同じ現象を前にした温度差は開くばかりだ。もっとも、計画の存在はNHIが実在する証拠には一切ならない。それが示すのは、米政府が「もしそうなったら手に負えない」と判断した事実だけである。その判断を下すために、彼らは何を見たのか。答えは今のところ計画書の中にしかないのかもしれない。

参考:Grenzwissenschaft-Aktuell、ほか

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