世界的UFO事件「羽田空軍基地事件」とは? 戦闘機の追尾をかわし、3つに分裂…

――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀り。アーノルド事件からCBA事件までを振り返る。

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画像は「Getty Images」より

 1952年(昭和27年)8月5日には、日本でも、歴史に刻まれる世界的なUFO事件が発生している。羽田空軍基地事件である。

 この年の4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効して日本は占領から解放され、独立国としての地位を取り戻した。しかし羽田空港はこのときもまだ、その大部分がアメリカの空軍基地として使用されていた。

 この夜、夜勤のため管制塔に向かっていた2人の管制官は、北東方向に大きな球体を見た。それは、2人がこれまで見たどの星よりも明るく、しかも動いていた。

 驚いた2人は管制塔の階段を急いで駆け上がった。そこには、交替予定の同僚2人もおり、4人全員が謎の光点を目撃した。双眼鏡で観測すると、光体は円形をしており、その背後に、直径が光点の4倍ほどもある暗い球体も確認できた。UFOは次第に基地に近づいてくるように見え、観測を続けるうちに、もう一つ小さな光点が現れた。

 しかし数分後、UFOは東の方に移動し、その姿は徐々に霞んで消えた。しかし4人の管制官がそのまま消えた方角を見ていると。光体が再び出現した。それは数秒現れただけで一旦消失し、その後また姿を見せると空軍基地に向かってきた。

 丁度その時、C-54輸送機が東京湾を通過中だったので、管制官の一人は、何か異常なものは見えないかと、無線でパイロットに問い合わせた。しかしパイロットからの返答は、何も異常はないというものだった。

11時45分になって、管制官は近くのレーダー基地に連絡をとった。すると、ここのレーダーにも謎の飛行物体が捕捉されていることが判明した。

 レーダー基地と管制塔とは互いに連絡をとって情報を共有したところ、管制官が目撃している光体とレーダーに映った目標とは同じ位置にあり、同じように移動していることから、同じ物体と判断された。

 レーダーでは5分にわたって異常な物体が捕捉された。その間UFOは東京湾中央部付近を行き来し、ほとんど停止するまで速度を落としたかと思うと、突然時速480キロほどの速度で移動した。その間管制官はずっと、双眼鏡で動きを観測していた。

 UFO出現の報告を受けてジョンソン空軍基地(現在の入間基地)から緊急発進したF-94迎撃機が現場に達した時には、時刻は翌日の0時3分になっていた。

 F-94はレーダー基地の誘導に従って目標方向に飛行し、後部座席のレーダー操作員が目標を確認した。物体は距離にして5400キロほど、方向は戦闘機の右10度、下方10度にあり、操作員はただちに目標にロックオンした。するとUFOは旋回し、90秒後にロックオンは外れ、同時にUFOの姿はレーダーから消えた。

 F-94はその後も現場上空を旋回して目標を探したが発見できず、その場を離れた。するとまたすぐに、地上レーダーにUFOが現れ、管制塔の4人も再び肉眼でそれを確認した。

 レーダーで観測していると、2分程度で目標は3つに分裂し、それぞれが400メートルほどの間隔を保ったまま北東に向かい、数秒後に消えた。

 このUFOの正体は謎のままである。

 同じ方/向で2度消えてまた現れ、さらにレーダーと肉眼との観測が同じように移動するのを観測していることから、天体や気象現象とは考えられない。

 事件後試しにライトのついた観測用気球を打ち上げてみたが、その光は目撃された者より黄色っぽくなり、数秒で光が見えなくなるまで遠ざかっていったから気球とも考えられない。

 じつはこの年、1952年(昭和27年)には、日本で大勢の人間がUFOを目撃するという事件が他に少なくとも2件発生している。

 最初の事件は8月1日に起こった。

 この日の夜、東京都内の新宿区や世田谷区などで、大きな光の塊が夜空を横切って飛ぶのが大勢に目撃された。各新聞は一斉に事件を報じ、『読売新聞』によれば、本件に関する200通以上の投書が同社に殺到したということである。しかし数日後、三鷹市にある東京天文台の広瀬秀雄博士は、これは流星だったと述べている。

 同じ8月の10日と11日には大分でUFOが目撃された。

 それ以外にもこの年には、朝鮮戦争まっただ中の朝鮮半島上空のUFO目撃やボーイスカウト団長事件、スピッツベルゲン事件について報道されるなど、日本の新聞ではUFO関連記事の数が飛躍的に増加している。筆者が個人的に確認したところでは、関連記事の数は前年の3倍以上である。

 つまりUFOに対する関心は、当時の日本のメディアの間でかなり高まっていたのだ。しかし、羽田空軍基地事件については一切報じられていない。どうやらアメリカ軍は事件を重視し、厳重な箝口令を敷いていたようだ。

 なお1957年には他にも、9月12日にアメリカのフラットウッズで、3メートルの怪物が目撃される事件も発生している。アメリカのジョージ・アダムスキーが初めて金星人と会見したと主張するのも、この年の11月20日である。

【羽仁礼UFO史連載】
第1回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(1) 
第2回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(2)
第3回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(1)
第4回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(2)
第5回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(1)
第6回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(2)
第7回:戦前に設計された円盤形航空機「ディスコプター」とは?
第8回:UFO=宇宙人の乗り物説は日本発祥だった!?
第9回:UFO研究の先駆者ドナルド・キーホー概説
第10回:1897年「オーロラ事件」は世界初のUFO墜落事件なのか?
第11回:謎に包まれた「アズテック事件」を解説(1)
第12回:謎に包まれた「アズテック事件」を解説(2)
第13回:昭和25年の「空とぶ円盤」事情
第14回:ナチスのUFO開発史ールーマニアの発明家アンリ・コアンダ(1)
第15回:ナチスのUFO開発史ーフリーメーソンの技術者ベッルッツォ(2)
第16回:ナチスのUFO開発史ー円盤型航空機「V-7」は完成していた!?(3)
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第20回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(1)
第21回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(2)
第22回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(3)
第23回:50年代のUFO研究団体「空中現象調査機構(APRO)」とは?

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文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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