映画『エイリアン2』が当てた未来、外した未来、そして現実が追い越した技術

ジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』が、公開から40年を迎えた。舞台は2179年、植民地海兵隊が想像を絶する地球外生物と対峙するあの作品である。
ゼノモーフ(劇中のエイリアン)こそ幸いにして発見されていないが、劇中の小道具のいくつかはすでに私たちの手元に届いているという。英ノッティンガム大学のスティーブ・ベンフォード教授が、40年越しの「答え合わせ」を語っている。
当てた未来①:腕のバイオセンサーとパワーローダー——外骨格は25万円で買える時代に
ベンフォード教授が感心するのは、巨大な宇宙船ではなく、隊員が身につけている小物類のほうだという。
個人用のスマホが一切登場しないのは現代の観客には奇妙に映るが、代わりに隊員はリストバンド型のバイオセンサー、装着カメラ、携行型の動体センサーを備えている。教授はこれらが非常に「今っぽい」と評価する。
実際、今のスマートウォッチやスマートリングは劇中の装置より小さく賢く多目的だ。映画が当てたというより、現実が追い越した領域である。
もう一つの的中がパワードスーツだ。クライマックスでリプリーが乗り込む「パワーローダー」は、装着者の動きをなぞって腕力と機動力を増幅する人型機械だった。
荒唐無稽に見えるが、似た設計の外骨格はすでに市販されている。腰と膝を補助するモジュール式の製品なら、およそ25万円だ。昨年の家電見本市CESでは、12基のモーターで人間の歩行とバランスを再現する25万ドル(およそ3700万円)の「XoMotion」も披露された。歩行能力を失った人向けだが、工場での重量物運搬にも応用できるという。
ただし教授は、工場の床をローダーが闊歩する未来には懐疑的だ。危険な仕事は人間を近づけず、遠隔操作のロボットに任せるほうが合理的だという。
当てた未来②:人間の指を必要としない銃——ウクライナで現実化した「セントリーガン」
そして教授が「最も正確に当たってしまった」と考えるのが、皮肉にも一番不穏な予測だった。
劇中、海兵隊は通路に自動セントリーガンを据え付ける。人間が引き金を引かなくても標的を検知し、照準を合わせ、勝手に撃つ砲台だ。
ウクライナでの戦争では自律型の兵器システムが急速に進化し、最小限の監督下で陣地を守り前線を巡回するロボット銃座がすでに投入されている。中でもフロントライン・ロボティクス社の「Buria」砲塔は、劇中の装置と外見までよく似ているという。

外した未来:モーショントラッカーは現実に抜かれ、ビショップは「会話」だけ先に実現した
もちろん外した部分も多い。まず、人間の一生のうちに恒星間を移動する技術には、人類はまだ全く手が届いていない。
意外にも、あの名アイテムも外れの側だ。隠れたゼノモーフを探す「モーショントラッカー」である。キャメロン監督が読み切れなかったのは、機械に物体を認識させるコンピュータビジョンと監視技術の進歩速度だった。
コロニー中にスマートカメラの網を張っておけば、人間もエイリアンも遥かに効率よく追跡できたはずだと教授は言う。群衆を監視する「ライブ顔認証」は、すでに現実の街頭で運用中だ。手持ちのレーダー片手にビクビク進む必要は、実はなかったのかもしれない。
逆に、今は未来的に見えても今後実現しうる技術もある。ランス・ヘンリクセン演じる人造人間ビショップだ。
自分で計画を立て、移動し、物を操作するビショップの自律性について、教授は、今の移動ロボットも一部はこなせるものの、人間並みの即興性には遠く及ばず、裏方の人間の支援を必要とすることが多いと指摘する。
一方、人間と自然に会話する能力は、今日のチャットボットを見れば十分にありそうな話だという。知的に喋っているように見えるAIに、私たちはもうすっかり慣れてしまった。
残る問いはただ一つ。機械が自意識を持ち、道徳的に振る舞う日は来るのか——。アラン・チューリングがAIについて書いて以来、人類が問い続けている難問である。
40年前のSFが外したのは、恒星間宇宙船と人造人間の心だった。逆に見事に当ててしまったのは、人間の指を必要としない銃のほうだ。2179年を待つまでもなく、あの映画で一番不気味だった部分から先に現実化しつつあるのかもしれない。
参考:Daily Mail、ほか
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