【パンデミックと新宇宙時代】ビル・ゲイツが民間宇宙事業を批判! イーロン・マスク「インスピレーション4」の裏側(ケロッピー前田解説)

 ここで「宇宙がなんだ。地球でやるべきことがたくさんだろう」と、ビリオネアたちの民間宇宙事業を辛辣に批判しているのがビル・ゲイツだ。スペースXのインスピレーション4がミッションを達成したばかりの9月22日、ジェームズ・コーデンのトーク番組にZoomで出演し、「宇宙船で地球を脱出しようとしていないビリオネア」と紹介されると、ゲイツは得意げな笑みを浮かべた。

 日本でも邦訳がベストセラーになった自身の書『地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる』(早川書房)を引き合いに、2050年までに毎年510億トンと言われる世界の二酸化炭素排出量を限りなくゼロにすることを提案し、そのために人類全体が協力しなければ、間に合わないと強調した。

 2050年といえば、イーロン・マスクが推進する人類の火星移住が本格化する予定の時期でもある。また、ゲイツが目指す「CO2ゼロ」の要のひとつである電気自動車については、マスクのテスラが世界をリードしており、「1%くらいは宇宙に使わせてくれ」というマスクがよく言うセリフを無視するわけにもいかないだろう。実際、マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツは今年5月に発表したメリンダとの離婚の影響で、ビリオネアのトップ3から転落していることも悔しいところだろう。

 9月27日、テスラの株価の急上昇によって、イーロン・マスクが資産2000億ドルを突破、フォーブスのリアルタイム・ビリオネアランキング上で、2位のジェフ・ベゾスを抑え、世界一の富豪となった。(フォーブスジャパン

 10月11日、ジェフ・ベゾスのツイートに対して、イーロン・マスクは2位の銀メダルの絵文字を送ってからかった。

 マスクは、自分が生きている間に、地球外で自動車を製造したいという仰天プランもぶち上げており、インスピレーション4の成功で、宇宙事業ばかりか資産においても、ベゾスを引き離しつつあると言われる。(参照記事

 一方、ジェフ・ベゾスは、7月20日、自社ブルーオリジンのロケット「ニューシェパード」で自らが先陣を切って、“宇宙体験”をしたにも関わらず、その喜びに酔いしれるのもほどほどに、まずは今年4月にNASAのアルテミス計画において、月面着陸船の受注でスペースXの1社が29億ドルの独占契約を結んだことが受け入れ難く、7月末にはNASAに20億ドルの開発費をブルーオリジンで負担する妥協案を提示したかと思えば、NASAに拒否されると裁判訴訟に転じ、アルテミス計画そのものの推進を妨害し始めている。(参照記事

月着陸船開発を失注したベゾス氏がNASAに約2208億円の「インセンティブ」を打診

Blue Originは月着陸船のSpaceX発注に抗議し連邦裁判所でNASAと一騎打ちに

 マスクにも「裁判に訴えても月には行けない」と諭されるほど、さらに、ベゾスの宇宙飛行以降、17人の有能なエンジニアたちがブルーオリジンを離れ、スペースXや他の宇宙ベンチャー企業へ転職する事態も起こっている。(参照記事

 そればかりか、9月30日には、ブルーオリジンの元社員及び現役社員21名が書簡を公開し、同社が安全性を軽視し、性差別的な職場文化を生み出していると主張した。そこで指摘されたパワハラやセクハラも大問題だが、無理なノルマを課せられたエンジニアが追い込まれてしまったり、スケジュールを急ぐあまり、社員側からの安全性の指摘が無視されるなど、将来的な事故に繋がる危険があるなら大スキャンダルである。(参照記事

 ところで、ジェフ・ベゾスこそ、せっかく“宇宙体験”をしているわけだから、その効果で精神や魂が浄化されたりしないものだろうか。とにかく、みんなをもっと楽しい気分にさせて欲しいのだ。

 やっぱり、地上100キロの“宇宙体験”では物足りないのか? カーク船長の宇宙体験に期待したい。10月13日、スタートレックでカーク船長を演じたウィリアム・シャトナーが約10分間、地上100キロのカーマン・ラインに達する宇宙飛行を無事に達成した。パラシュートで着地した宇宙船をベゾス自らが出迎えると、シャトナーは興奮気味に感激の涙を流し、「すべての人が体験すべき、感動的なものだった」と宇宙体験を絶賛した。

「宇宙の闇は死を感じさせる怖いもので、一方、地球を覆う青い大気は皮膚のように生命を守っていた。いかに地球が大切かを全身で感じることができる体験なんだ」と饒舌に語った。

宇宙船に乗る民間人としては、シャトナーが最もハマっていた。彼が語る宇宙体験には説得力がある。7月20日の最初のフライトに彼を乗せても良かったんじゃないかと思ってしまうほどだ。それでもベゾスの苦境は続いている。(つづく)

(つづく)

<過去の記事> 

・集中連載(3)
【第1回】ビル・ゲイツとワクチン
【第2回】ビル・ゲイツとマイクロチップ
【第3回】ビル・ゲイツと人口削減
【第4回】ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズ
【第5回】ビル・ゲイツとグレート・リセット
【対談編・前編】ワクチン開発にこだわる理由
【対談編・後編】ゲイツにはジョブズが必要

・集中連載(2)
【第1回】ディープステートの正体
【第2回】2016年大統領選ヒラリーの私用メール
【第3回】ヒラリーの私用メール問題がトランプを勝たせた
【第4回】セス・リッチ射殺事件とロシアゲート
【第5回】拡大するQアノン運動
【緊急特報】米中戦争勃発!亡命学者の大暴露!
【対談編・前編】ヒラリーの逮捕
【対談編・後編】パンデミックの収束はいつ?

・集中連載(1)
【第1回】ビル・ゲイツの予言
【第2回】パンデミック演習「イベント201」
【第3回】武漢ウイルス研究所とは何か?
【第4回】「プランデミック」の賛否
【第5回】武漢フレンチコネクション
【対談編・前編】トランプが陰謀を挫いた
【対談編・後編】ディープステートvsトランプ

文=ケロッピー前田

1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は地上波の人気テレビ番組でも取り上げられ話題となる。著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。新刊本『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)絶賛発売中!

公式twitter:@keroppymaeda

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