宇宙人と世界で初めて会見したジョージ・アダムスキー(4) 暴かれる真実…

――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀り。アーノルド事件からCBA事件までを振り返る。

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画像は「Getty Images」より

 アダムスキーの主張は、その後ますますエスカレートした。自分の出自に関しても、父はポーランドの王子で当時の王室の一員であり、母はエジプトの王女だったとか、8歳でチベットに送られてダライ・ラマのポタラ宮殿で東洋の哲学や秘教を教わったなどと主張し始めた。

 さらに弟子たちに対しては、テレパシー、遠隔透視、過去世透視、オーラ透視、さらに病気治しができるような素振りを見せていたようだ。

 また1965年2月には、メリーランド州シルバー・スプリングスにあるマドレーヌ・ロドファーの自宅でUFOの8ミリ動画も撮影している。この動画は、日本では当初ロドファーが撮影したと紹介されたため、ロドファー・フィルムとして知られている。 

 アダムスキーのコンタクト・ストーリーに関しては、アメリカ以外でも奇妙な事件がいくつか起きている。

 まずは1954年2月15日、イギリスのランカシャー州コニストンで、当時13歳だったスティーブン・ダービシャーと従弟で9歳のエイドリアン・マイヤーの2人の少年が、90メートルほど離れたところの離陸するUFOの写真を撮影した。このUFOの形状は、1952年12月13日アダムスキーが撮影したものによく似ていた。イギリスの航空技師レナード・クランプは、これをアダムスキーが撮影したものと比較し、この2つは大きさも形も同一であると主張した。

 アダムスキーが宇宙人から受け取ったネガに写っていたアダムスキー宇宙文字に関しては、フランスの考古学者マルセル・オメ(1897~1982)が奇妙な証言を残している。オメは1950年にブラジルのペドラ・ピンダータの遺跡を発見したが、そこでアダムスキー宇宙文字によく似た記号を発見したと1958年の著書『太陽の息子たち』で述べたのだ。

 さらに1962年には、やはり金星人とコンタクトしたという南アフリカ共和国のバシル・ヴァン・デン・バーグが、金星人の助けでこの宇宙文字を解読し、反重力モーターを開発したと発表した。

 また1957年にはアダムスキーの許に、アメリカ政府が用いる便箋で手紙が届いた。そこにはアメリカ国務省文化交流委員会代表R・E・ストレイスなる人物の署名があり、アメリカ政府はアダムスキーが1952年に金星人と会見したことを知っていると記されていた。

 アダムスキーは1965年4月23日、心臓発作で死亡したが、その翌日4月24日にイギリスのスコリトンで起こったUFO事件では、アダムスキーの生まれ変わりではないかと疑われる少年の宇宙人が目撃されている。

 しかし、こうしたさまざまな関連事件にも拘わらず、現在ではほんの一握りの支持者を除き、ほとんどの真面目なUFO研究家はアダムスキーの体験談はでっち上げに過ぎないと考えているようだ。

 まずアダムスキーが自ら撮影したとされる写真に写るUFOは、その胴体部分が当時アメリカで販売されていた石油ランプの傘と同一であり、他の部分も家庭用品など当時手に入る市販の物体を継ぎ合わせたものと考えられる。

 コニストンのUFO写真は、アダムスキーのものと比べればすぐわかるとおりプロポーションがかなり異なっている。

 マルセル・オメが発表したペドラ・ピンダータの象形文字は遺跡ではなく、遺跡にあった石器に刻まれていたということであるが、博士以外にこれを確認した者はいない。

 ストレイス書簡なるものは、じつはアダムスキーに批判的なUFO研究家ジェイムズ・モズレー(1931~2012)とグレイ・バーカー(1925~1983)が共同でねつ造したものであり、ストレイスなる人物は実在しない。

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ジョージ・アダムスキー(画像は「Getty Images」より)

 反重力モーターを発明したしたというバシル・ヴァ・デン・バーグはその後消息を絶った。

 ロドファー・フィルムについては、日本の研究家高梨純一、大槻哲史、そして赤岩義彦の3人がそれぞれ独自に研究し、透明な板に半分に切った模型を撮影したものと解明した、

 なんといっても、金星や火星、土星といった太陽系の他の惑星にはいずれも地球人に似た人類が住んでいるとか、月に空気があって都市も存在するなどというアダムスキーの主張は、その後の太陽系探査の結果とは相容れないし、UFOでの宇宙旅行体験は、アダムスキーが1949年に書いたSF小説『宇宙のパイオニア』(邦訳は『地球人よ、ひとつになって宇宙へ目を向けなさい!?』)にそっくりの内容だ。

 アメリカ空軍のUFO調査機関プロジェクト・ブルーブックの長官エドワード・ルッペルトも、密かにアダムスキーの講演を聞いたことがある。彼は詐欺師だと結論している。

 ただ、アダムスキーが目撃したものによく似た形のUFOは、その後世界各地で目撃され、何度も写真に撮影されている。

【羽仁礼UFO史連載】
第1回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(1) 
第2回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(2)
第3回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(1)
第4回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(2)
第5回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(1)
第6回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(2)
第7回:戦前に設計された円盤形航空機「ディスコプター」とは?
第8回:UFO=宇宙人の乗り物説は日本発祥だった!?
第9回:UFO研究の先駆者ドナルド・キーホー概説
第10回:1897年「オーロラ事件」は世界初のUFO墜落事件なのか?
第11回:謎に包まれた「アズテック事件」を解説(1)
第12回:謎に包まれた「アズテック事件」を解説(2)
第13回:昭和25年の「空とぶ円盤」事情
第14回:ナチスのUFO開発史ールーマニアの発明家アンリ・コアンダ(1)
第15回:ナチスのUFO開発史ーフリーメーソンの技術者ベッルッツォ(2)
第16回:ナチスのUFO開発史ー円盤型航空機「V-7」は完成していた!?(3)
第17回:ナチスのUFO開発史ー円盤型航空機と南米ネオナチ思想の中心人物(4)
第18回:科学知識を総動員した「世界最高のUFO研究書」
第19回:米軍UFO調査機関「プロジェクト・サイン」とフォート・モンマスUFO事件
第20回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(1)
第21回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(2)
第22回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(3)
第23回:50年代のUFO研究団体「空中現象調査機構(APRO)」とは?
第24回:世界的UFO事件「羽田空軍基地事件」とは?
第25回:宇宙人と世界で初めて会見したジョージ・アダムスキー(1)
第26回:宇宙人と世界で初めて会見したジョージ・アダムスキー(2)
第27回:宇宙人と世界で初めて会見したジョージ・アダムスキー(3)

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文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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