霊界に出入りし、太陽系の宇宙人と交流したエマニュエル・スウェーデンボルグ

 エマニュエル・スウェーデンボルグの名は、心霊研究の世界において、生きたまま霊界に出入りし、その模様を数多くの著作に書き残した人物として知られている。

 しかしその前半生は、天文学や物理学など広範な分野に精通する科学者にして、数々の新機軸の発明を行った発明家、そして技術者、機械技師として、母国スウェーデンだけでなく、国際的にも知られた当時最高の知識人であった。

 ちなみに世界的には「スウェーデンボルグ」として知られているが、本国のスウェーデン語では「スウェーデンボルイ」と発音するようだ。

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スウェーデンボルグ(画像は「Getty Images」より)

 スウェーデンボルグは1688年、鉱山経営などを行う富裕な一族に生まれた。

 1709年に大学を卒業すると、翌年からイギリスなどヨーロッパ各国を旅し、最先端の技術や知識を学んで1715年に帰国、帰国後王立鉱山局監督官に任命された他、スウェーデン最初の科学雑誌を刊行、自らが得た着想に基づく科学記事を続々と発表し、同時に数々の科学的著述も刊行した。1719年には、父イェスペルとともに貴族に叙任され、スウェーデン貴族院議員の議席を得た。

 一家がスウェーデンボルグと改称したのはこのときである。

 科学者時代のスウェーデンボルグの関心は、幾何学、天文学、機械工学、鉱物学、地質学、物理学、化学、冶金学から、解剖学や生理学、哲学など広範な分野に及ぶ。その業績のごく一部を紹介すると、月の位置に基づいた正確な経度の測定法の発見、潜水艦や機関銃、飛行機、自動演奏装置や跳ね橋などの設計、鉱山で採掘された鉱石を自動的に地上に運ぶ装置の発明、スウェーデン各地の地質調査の実施、鉄と銅の溶解に関する分析などがある。解剖学の分野では、大脳皮質の重要性や、脳の局在性、そしてニューロンの存在を世界で最初に指摘し、脳脊髄液の性質も解明した。天文学の分野でも、イマヌエル・カントより20年も早く、宇宙創成論としての「星雲説」を唱え、この宇宙には太陽系が無数にあるとも主張した。

 まさに、かのレオナルド・ダ・ヴィンチをも凌ぐような万能の巨人だったのである。、

 そのスウェーデンボルグが、本格的に霊の世界に関わるようになり、生きたまま自由に霊界に出入りするようになったのは、1745年4月、ロンドン滞在中の経験がきっかけだった。

 その夜、彼は行きつけのレストランでひとりわびしく夕食をとった。食事を終えて、ナイフとフォークをテーブルに戻したとき、突然、床一面に蛇やガマガエルなど気味の悪い生き物がたくさん湧き出すように現れた。スウェーデンボルグは気も動転するばかりに驚いたが、すぐにこの生き物の姿は消え、かわりに一人の人物が現れた。この人物は、彼にこう警告した。

「食べすぎるんじゃない。」

 その人物は、これだけいうと視界から消えた。

 しかしその夜、同じ男が宿のベッドの脇に再び姿を見せ、こう言った。

「私は主なる神だ。人々に聖書の霊的内容を啓示させるためにお前を選んだ。何を書くべきかをお前に示そう。」

 この瞬間からスウェーデンボルグの前に、霊界や天国、地獄までもが門を開いた。1747年には、31年間務めた鉱山局を辞め、霊界関係の著作に専念するようになった。

霊界に出入りし、太陽系の宇宙人と交流したエマニュエル・スウェーデンボルグの画像2
画像は「Getty Images」より

 この頃のスウェーデンボルグには、数々の不思議な逸話が残されている。もっとも有名なものは、1759年7月に起こった。

 この日、イギリスからの帰ってきたばかりのスウェーデンボルグは、自宅のあるストックホルムから400キロほど離れた西部の港湾都市、ヨーテボリに住む友人の家に泊まり、他の客も交えて夕食をとっていた。すると突然顔面蒼白となり、ストックホルムで火災が発生し、それがみるみる燃え広がっていると口走った。その後も彼は断続的に家事の様子を伝え、最後に、彼の家から三軒手前で火災が消し止められたと告げた。

 この時代、ストックホルムの情報がヨーテボリに届くまでには日数がかかった。最初の情報は、事件の二日後にやって来た通商局の役人によりもたらされた。この役人が伝えたストックホルムの火事の模様は、発生や鎮火の時間までスウェーデンボルグが述べたこととことごとく一致していた。ドイツの高名な哲学者イマヌエル・カントも、この事件を事実として紹介している。

 彼は霊界訪問中、地球人だけでなく、太陽系の他の惑星から来た霊とも出会い、それらの星の住民や生前の生活について書き残している。

 たとえば水星人は、背丈は地球人と同じくらいだがほっそりして顔が小さい。木星人は顔が大きく、両手で身体を支えて交互に半身を起こすようにして歩くといった具合である。

 また金星には温和で人情味豊かな人々と、野蛮でほとんど野獣のような二種類の住民がおり、月の住人は7歳の子供くらいの背丈だという。

 これを宇宙人とのコンタクトとみなすなら、アダムスキーより200年も前ということになる。

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文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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